はてな年間100冊読書クラブ 019/100

高杉良『勇気凛々』

勇気凛々 (角川文庫)

勇気凛々 (角川文庫)

評価:☆★★★★

自転車製造・販売会社のホダカ株式会社の創業社長武田光司氏の物語です。放送局の敏腕営業マンから、畑違いの自転車販売に転じ、様々な困難を乗り越え最終的には堂々たる企業に成長し、二十周年の記念パーティを迎えたところまでを描いています。
結構読むのに時間がかかりました。エピソードを連ねただけの難しい話でもないし、経済用語がふんだんに出てくるわけでもありません。にも関わらず、読むのに時間がかかったのは、サラリーマンとして身につまされる部分があったのと、主人公に今ひとつ共感を覚えられなかったせいかと思います。確かに立派な人だとは思うのですが、苦は共にできても、楽を共にできない人だと感じました。物語中で彼が目をかけていた社員二人に会社を去られてショックを受ける箇所がありますが、むしろ去った方により共感しました。
成功した人は人一倍働いているけど、人一倍働いたからといって必ずしも成功するわけではないというのが、この本から得られた教訓でしょうか。