はてな年間100冊読書クラブ 022/100

マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン『ドラゴンランス 夏の炎の竜(下)』

ドラゴンランス―夏の炎の竜〈下〉

ドラゴンランス―夏の炎の竜〈下〉

評価:☆☆☆☆★

善悪双方の勢力を描きながら、勧善懲悪でないところがこのシリーズの魅力の一つだと思います。特にこの「夏の炎の竜」で主人公を務める、善を体現したソラムニア騎士スタームと悪の女王に仕える女戦士キティアラの息子スティールと善の側の戦士キャラモンの子で悪の女王に取って代わろうとした黒ローブの魔術師レイストリンを叔父に持つ魔術師パリンの二人はそれを表しているとも言えます。 従兄弟どおしでもある彼らがどのように関わって、どのような結末を迎えるか、上中下巻を通して堪能できました。最後の戦いに赴く際の別れの台詞が簡潔ながらもここに至るまでの様々な思いがこめられていて格好良いものでした。この下巻は彼らの物語と言えるでしょう。
<最後の英雄>の墓のシーンで大団円となり、終幕で胸を打たれるわけですが、それがまた『ドラゴンランス 魂の戦争』の伏線となっているとは。