はてな年間100冊読書クラブ 003/100

アーロン・エルキンズ『偽りの名画』

偽りの名画 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

偽りの名画 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

評価:☆☆☆★★
アーロン・エルキンズというとアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した『古い骨』に代表されるスケルトン探偵ギデオン・オリヴァー・シリーズが有名ですが、本書『偽りの名画』はサンフランシスコ美術館学芸員クリス・ノーグレンを主人公としたシリーズものの第一作にあたります。……ということを読んでから初めて知りました。『古い骨』は読んでいたんですが……。
向こうが骨の専門家なのに対して、本書の主人公クリスは絵画の専門家です。ひょんなことから事件に巻き込まれ、専門知識を生かして事件を解決というのがこの種のミステリのパターンです。本書では名画の贋作を巡る殺人事件がおきますが、クリスが関与するのは贋作された絵画は何かということだけです。もっともそれが犯人を見つける決め手となるわけですが。それ以外は腕っ節は弱いし、離婚訴訟を引きずっていたりとあまり冴えない主人公です。
あまりマイナな画家の名前は出てきませんが、ルーベンスレンブラントティツィアーノフェルメールくらいは知っていると楽しめると思います。