はてな年間100冊読書クラブ 006/100

鯨統一郎『新・世界の七不思議

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

評価:☆☆☆☆★
邪馬台国はどこですか?』の続編に当たる歴史ミステリ短編集です。基本スタイルは前作と変わらず、バー「スリーバレー」で歴史学者早乙女静香と謎の男宮田六郎が歴史検証バトルを繰り広げるというものです。前作は日本史がテーマでしたが、本作では世界の七不思議*1の謎解きに挑戦します。
本書というか歴史ミステリを読むたび、作るのも読むのも大変だなとつくづく思います。作る方は、実際のデータを基にもっともらしい話を作り出さなければいけません。特に本書では意外な歴史解釈を読者に納得させなければなりませんから、どういう風に落とすかが腕の見せ所です。
一方読む方はというと、歴史を題材にする以上、それに対する知識がないとそもそも何が謎なのかすらわからなくなります。もちろん、作者が作中で色々と基礎知識を提示しますが、それだって100%全てというわけではありません。そもそも歴史に興味がないと手に取るかどうかも怪しいところです。
本書では、世界史が専門外と言う宮田に対して静香やバーテンダー松永が色々解説することで必要な予備知識を提供していますし、世界史といってもアトランティス大陸ストーンヘンジ、ピラミッドなどを題材とし、ポップな表紙と合わせ、とっつきにくさを軽減しています。
謎解きに納得するかしないかは読む人にお任せします。個人的には、こういうバーで飲んでみたいなぁと思いました。
忙しいとこういう手軽に読める連作短編などは個人的にポイントが高いです。

*1:正確な意味での七不思議ではないのは作中でも触れています