はてな年間100冊読書クラブ 017/100

宮部みゆき 『今夜は眠れない』

今夜は眠れない (角川文庫)

今夜は眠れない (角川文庫)

評価:☆☆☆☆★
はてな年間100冊読書クラブの「夏の100冊を読書クラブの参加者でコンプリートしよう」企画の担当分です。他の積ん読分ありましたが優先的に片付けました。
かつて母が命を救った放浪の相場師が自らの死に際し、母に5億円の遺産を寄贈したことに端を発し、さまざまな騒動が巻き起こります。壊れかけた家族の絆を取り戻すため、自らの出生の謎を解くため、親友の島崎君と真相究明にのりだすというのが本書の大雑把なストーリーです。
主人公は中学一年生で彼がワトスン役で物語は描かれます。島崎君がホームズです(本文中でもそう言っている)。聞き込みで大人相手に理路整然と説明をして不審がられる島崎君に対し、子供らしくお願いして目的を達してしまう主人公みたいに単純に大人を子供に置き換えただけでない点が面白かったです。
読み口は軽く、ミステリというよりは少年冒険小説といった感じです。殺人事件が起こるわけでもなし、だれかが不幸になるわけでもなし、読後の感じもさわやかです。一見するとこんな中学生いないぞと思いますが、ヒューマンでどのキャラクターもいい味を出していると思います。いつも読みたい本ではありませんが、精神的に疲れたときにサラッと読むのに向いているかもしれません。