はてな年間100冊読書クラブ 021/100

霧舎巧『九月は謎×謎修学旅行で暗号解読』

評価:☆☆☆★★
霧舎学園ミステリ白書第6弾です。今回は修学旅行先の京都で宝探しと令嬢探しの二つの暗号解読に巻き込まれます。一方、霧舎学園側でも京都と同様の暗号が見つかり、こちらはこちらで捜査を開始します。
感想ですが、殺人事件も起きていますが陰惨な感じは全く無くとてもライトな感覚で読めます。ミステリではなくラノベに分類しても良いくらいです。
今回は暗号解読が主軸ですが、提示された暗号も登場人物たちが勝手に解釈してどんどん進んでいくので、自分で謎を解きたい人には不向きです。全体としては、暗号やトリックは決して難解なものではありませんが、パズル的に物語をはめ込んであり、読み返すとさりげなく伏線が張ってあったりして感心します。例によって小道具も(無駄に)凝っていますし。
このシリーズ脇役に前巻までに登場した人物がけっこうでてきます。レギュラーメンバーはともかく脇役まで覚えていられるかというと、なかなかそうはいきません。まして前巻からは2年近くあいているのでなおさらです。先日のアルスラーン戦記もそうですが、シリーズものである以上最低でも年一冊は出してもらわないと、読むときに思い出すという余計な作業が入り、そのおかげで物語への没入を損ないます。
十月体育祭・十一月文化祭は巻末で取材協力を呼びかけているくらいなので、当分先なんだろうな。